SIMSとGDMSの使い分けは?
SIMSとGDMSは、
1)周期律表上に存在する安定同位体を持つ殆どの元素の高感度(ppb~pptレベル)が可能(バブルチャート参照)
2)スパッタリングを利用して測定対象元素のイオン化を行い質量分離計測する手法
などの共通点がありますが、下記のようにそれぞれ特徴が異なりますので、分析目的に応じて使い分ける必要があります。
1.深さ方向分析とバルク分析
SIMSは細く絞ったイオンビーム(酸素イオンまたはセシウムイオン)を試料に均一に照射しながら、高精度の深さ方向分布を得る手法です。半導体基板中にイオン注入した不純物や薄膜中に予想される汚染不純物の深さ方向濃度分布の評価などに主に用いられます。測定元素は予め決める必要があります。
一方、GDMSはグロー放電中に試料を曝してイオン化する手法で、試料中に存在する不純物を全て検出することができます。測定元素は予め決める必要がありません。材料のバルク中に含まれる全元素について、不純物濃度レベル情報を一覧表として得ることができます。ただし、H, C, N, Oにつきましては超高真空下の測定ではありませんので、通常SIMSが利用されます。
2.測定対象試料及び形状
SIMSの測定領域は数十μm~数百μmの大きさです。高精度の深さ方向濃度分布情報を得ますので、 試料表面が平滑であることが重要です。半導体基板や多層薄膜中の不純物評価などに最適です。 一方、GDMSはバルク分析手法ですので、測定領域に制限は無く、試料形状を全く問いません。 試料形状を多少調整するのみで、インゴット・粉末・破片・ワイヤー等あらゆる形状に対応出来ます。 各種材料のバルク中の不純物評価に最適です。
3.測定元素数及び標準試料の有無
SIMSでは、周期律表の元素を全て高感度で検出するために、正イオンになりやすい元素は酸素イオンビーム、負イオンになりやすい元素はセシウムイオンビームが使用されます。(2つのイオン種が用いられる理由)
測定元素は予め指定する必要があります。材料によって元素の感度が変わりますので(マトリクス効果)、正確な定量値を得るには、材料、元素毎に標準試料を準備します。
GDMS分析では、ほとんどの元素について元素間の感度が一桁以内に納まるためLi~Uまでの最大73元素を1つの条件で測定する事が可能である上に、マトリックス効果が小さいので、標準試料が無い材料及び元素でも精度は劣りますが定量は可能です。
GDMSとSIMSとの比較
■ GDMS
- 定性分析に適している (最大73元素の測定が可能)
- マトリックス効果が小さい
- 標準試料が無い場合でも定量に近い半定量が可能
- 試料形状を一切問わない(固体であればあらゆる形状に対応可)
- 深さ方向分解能が良くない(1μm)
■ SIMS
- 定性分析には適していない (測定元素の特定が必要)
- マトリックス効果が大きい
- 定量するためには標準試料が必要不可欠
- 平滑面を持った板形状である必要がある
- 深さ方向分解能が良い(< 2nm)











